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北炭幌内炭鉱変電所

北炭幌内炭鉱変電所

Open Panorama北海道の秋も深まる10月上旬、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団企画「北炭送電線をたどるツアー」に参加した。北炭とは北海道炭礦汽船株式会社の略称で、かつて北海道で多くの炭鉱を持っていた企業。その北炭が炭鉱に電力を供給するために作った発電所や送電線網等の炭鉱遺跡をたどるツアーだ。旅のガイドは、札幌国際大学 吉岡教授と元北炭電力マンの小西さん。吉岡教授の流れるような解説、そして小西さん朴訥な語り口、この絶妙なコンビネーションがマニアックな旅の雰囲気を一層盛り上げてくれた。

旅の始まりは、夕張市滝の上自然公園に隣接する滝の上発電所から。1925年(大正14年)1月、北炭の自家発電設備として建設され水力発電所である。レンガ壁とアーチ窓が大正ロマンを感じさせる建物だ。内部に入り、見上げるとアーチ窓上部にある五稜星(北炭のマーク)が赤いガラスであることに気付く。華美なものが無い発電施設なだけに教会のステンドグラスのようでとても印象的だ。この建物、毎年この時期に開催される紅葉まつりに合わせて一般公開されていて、この日もTV局の取材をはじめ多くの見学者が訪れていた。

北炭清水沢火力発電所、万字変電所、鉄塔等を経由し最後に訪れたのが三笠の幌内炭鉱跡。人里から離れ砂利道を森の中へと分入と、白と赤のコントラストが特徴的な建物が見えてきた。大正10年代に建設され、閉山の平成元年(1989年)まで使用されていた北炭の幌内変電所だ。建物奥のトラス鉄塔にはツルが絡まり巨大パーゴラのようである。内部の配電盤に整然と並ぶメーター、スイッチ等のアナログ計器類の姿は壮観で、重厚な雰囲気を演出している。

北海道の近代史は炭鉱を抜きには語れない。三井、三菱など財閥系企業も進出し、そこから採れたブラック・ダイヤモンドは日本の主要エネルギーとなり、経済の強力な推進力となった。北炭は自社の炭鉱に電力を供給するため自前で発電所を建設し、その電力を送る100kmにも及ぶ送電網を作った。しかし、その栄光も石油の登場とともに急速に衰退していく。

今回のプチ旅行、最初は重厚な施設や機器に目を奪われ、その存在感に圧倒された。北の地で自然に立ち向かう、その存在は文明のチカラのようにも感じた。しかし、旅が進むに連れ、目につくようになったのは弱りかけた建物の所々に見られるツルや苔など植物である。自然とはまるで異質な人工物と折り合いをつけようとするその姿。見方によっては侵食しているのかもしれない。しかし、その手法は至って平和的だ。この姿に、妙に感動する旅の終わりであった。

[北炭幌内炭鉱変電所]
場所:北海道三笠市幌内本沢町
撮影:2011年10月08日
機材:Canon EOS 5D + Tokina 10-17mm @14mm + Agno’s MrotatorTCP
アプリ:Lightroom, Photo Shop, PTGui Pro, Pano2VR
ピクセルサイズ:9,884pix * 4942pix(北炭幌内炭鉱変電所2F)

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